3日目、今日はいよいよミラノ市内観光である。窓の外は朝焼けがきれいだ。見下ろすと、だんだん目覚めていく街の様子が
おもしろい。今日は日曜だから、少しいつもよりのんびりかな。

 

  お嬢ちゃん、ママとどこに行くの?


 まずは朝食、ということで、ダイニングルームへ。昨日は食べ物が並んだ様子を撮ったが、部屋のほうはこんな感じだ。



  

 食べ物は自分で自由に取るが、飲み物は必ず聞きに来てくれる。私は5日間とも紅茶、彼はコーヒー。
ウェイトレスさんは4日目には「Tea, and coffe!」と向こうから言ってくれた。 なお、紅茶はハーブティーを含め
いろんな種類が選べるようになっていて、この日はミントティーにしてみた。

 ところで、今日と明日が一応市内観光日ということにしたのだが、細かい予定は立てていない。
今日は第三日曜日、月に一度の骨董市があるということで、見物は彼が言い出したのだが、以前ウィーンの骨董市がおもしろかったため、
これは結構楽しみだ。骨董市があるブレラ通り界隈は、イタリアでも5本の指に入るというブレラ絵画館があり、これもたぶん行く…くらいの
ゆる〜い街歩きが始まった。本日も快晴なり、駅のそばの売店はおじさんが水を流して掃除中。

 


 まずは、あさってクレモナへ行くため、そのチケットを先に買っておくことにした。自動券売機はどうもよくわからない&信用できない(壊れていたり
何かとトラブルが多いとか)のでチケット売り場の窓口へ行く。結構並んでるな…やっぱり乗る間際にあわてたくないと、今日来ておいて
正解だったね。あら、わんこがあんなところに! 駅構内は犬は出入りOKなのだが、やっぱり目の前で見るとびっくりする。

 


 列車はすでに日本で調べてあったので、スムーズに購入できた。ただ、やはりお国柄で、オーストリア国鉄の場合は出発駅のホーム番号まで
すべて調べられたし運行もほぼ正確だったが、イタリア国鉄のサイトでわかるのは時刻のみ。何番線から出発するかは、直前まで確定しない
ためだそうで、またいったん「確定」しても、それこそ出発直前で変更になるのも珍しくなく、さらに運休やら遅れやらは言うに及ばず、らしい。

 まあ、今から心配してもしかたがないので、後は当日まっすぐにホームに行けば大丈夫だね、と、このイタリア版みどりの窓口を後にして、
地下鉄のホームへと向かった。駅の構内は本当にどこを見てもすごいとしか言いようがない。高い天井、荘厳な雰囲気、ここで演奏したら
さぞ響くだろうな…お風呂場カラオケ状態か。いや、ここまで天井が高いと音が返ってきにくいかしらん、とどうでもいいことを考えながら
エスカレーターを降りていく。

 

 ちょっと周りと雰囲気の違うお店、期間限定開店か。


 エスカレーターを降りるとさらに地下鉄ホームに続く階段へ。これは荷物専用ベルトコンベアが階段横についているのが
おもしろい。アイディアとしてなかなかいいと思うけど。




 地下鉄に乗るのはこれで2回目になる。昨日に引き続きあまり混んでいる様子はないが、やはり日曜だからか。が、
それがある意味危険だったことにすぐ気付くことになった。




 電車がホームに滑り込んできたときのこと。当然ドア付近目指して待っていた乗客が集まってくるわけだが、そのとき
私と彼の間に少女が一人、ふいっと滑り込んできた。私より背が低い、せいぜい小学校高学年から中学生くらいか。一瞬あれ?と
思ったが、さほどは不審に思わず電車に乗りこもうとしたとき、なんと、先に乗りこんだ彼が腕にかけていたコートを
別の少女がなでまわしているではないか! 思わず「あぶないっ!」と私が叫んだ次の瞬間、「あっ!」と彼が
見たこともないような険しい顔で大声を上げた。 彼がにらみつけている先には2,3人の少女たち、さらにその
次の瞬間彼女たちはそのまま下りていった。 すべて10〜20秒ほどの間のできごとだった。

 彼女たちは、噂に聞いていた少女スリのグループだったのである。大声を出したので、車内の注目が集まったか…と思われたのも
つかの間、座席こそ埋まっていたけれど立っている人は多くもなく、皆ほとんど気にしていないように見えた。別に珍しくもない
出来事なのだろう。

 聞けば、乗って奥に進もうとしたところ、少女が1人、行く手をふさいで行かせない。しかたなく立ち止まったら
(グループに1人交じっていた)大人の女がGパンのポケットに手を入れてきたとのこと。 それで大声を出したのだが、そうしたら
両手をひらひらさせて何も持っていない、というジェスチャーをして下りていったという。

 そして、私の「あぶないっ!」という声は彼には聞こえず、またコートをなでまわされていることには気づかなかったという。こちらも
もちろんスリへの警戒は最大限にしており、彼は財布をコートのファスナーつき内ポケットに入れ、さらに直接さわれない形に
畳んで腕にかけていた。私もポシェットをななめがけにした上からジャケットを羽織るというスタイルである。外ポケットには
ハンカチも入れていない。

 だが、まさかさわったらすぐわかるようなぴったりしたGパンのポケット、それも後ろではなく前のポケットに堂々と
手を入れてくるとは思わなかった。見たところ、服装も普通の女の子だったけど、いったいどういう子たちなのかしら。
小銭入れもうっかりポケットに入れられないね、でも、もし今度出くわしても腕をつかまえるなんてしないでね、そうしたらどんな
言いがかりをつけてくるかわからない、何せ相手は子供、女の子だから、などと言い合い、どよんとしていたら、
突然鳴り響くギターの音。

 見れば、隣の車両でギターを掻き鳴らして歌い始めた男性がいる。そういえば昨日も、乗りこんできたと思ったら
突然目の前で歌を歌いだした若い女性がいて度肝を抜かれたが、どうやら週末の地下鉄では珍しくもない光景らしい。昨日は
あまりに目の前でカメラを構えられなかったので、今日は撮ってみたいな、と人の頭越しにがんばってみた。そばにいた
おじさんが、ふいにカメラを構えた私をびっくりしたように見たのでちょっと気が引けたけど、なんとか目的達成。ついでに
気持ちの切り替えもちょっとできたかも。




 それからほどなく、目的地のランツァ駅に到着。チェントラーレ駅からは10分ほどの短い乗車時間である。さあ、気を取り直して
歩こう!まず目指すのはブレラ絵画館近辺だ。

 向こうからやってきたのはトラム、これも一度は乗ってみたいけど、どうするのかな?まずはチボリ通りをぶらぶらと歩いて
いく。石畳の道がなんともいい雰囲気だ。このチボリ通りは途中からポンタッチオ通りと名前が変わるのだが、そこまで来たら美術館はすぐそばだ。

 

 あと少しかな。

 スナップしながらぶらぶらと。まだ9時過ぎなので、お店はあまり開いていない。カフェもまだ人がまばら、骨董市もすでに店開きしているところも
あるが、まだこれからかな。先に絵画館に行ったほうがよさそうだ。こちらは8時半から開いているので、まずこちらへ行くことに。

 

 


 これが美術館の門と中庭、広角側で撮っても、とてもレンズに収めきれない。

 

 残念ながら館内は撮影禁止なので、絵の写真はない。ウィーンでは撮り放題だったんだけどな…じっくり丁寧に見て回ったけれど、
やはり宗教画は私には重たかった。一番印象に残ったのはフランチェスコ・アイエツなる初めて聞いた画家の「キス」という作品で、
美しいブルーのドレスの女性を抱きしめてキスする若い男性、彼の服装はさほどきらびやかではないところから見ると、身分違いの恋
なのだろうか。ドレスの色が本当に美しく、いつまでも眺めていたかった。時代が新しくなるほど、私には好みの絵が多かったようだ。

 これは最後に立ち寄ったミュージアムショップ、やはり先ほどの「キス」は人気のある絵らしくグッズが非常に豊富に売られていたが
あの美しいドレスのブルーがイマイチ表現されていなかったので、結局何も買わずじまい。こちらは子供向けの本らしいが
色彩がとてもきれいで、ここならいいかなと、1枚カシャリ。日本のこけしをあしらった絵本が可愛かったが、何の本だったんだろう。
(諸般の事情で一部ぼかしてあります)




 見終わってブレラ絵画館を出ると、いよいよブレラ通りの骨董市見物だ。さあ撮るぞ!お店の準備もすっかり終わったようだ。

 

  


 ここはシーフード専門のレストランかな。魚が並んだ光景をミラノで見たのはこれが最初で最後だった。

 


 時間は11時前後、カフェがにぎわうのはこれからだ。並んだグラスが私には思いっきりツボである。

  


 歩いていたら、一人の老人が目に付いた。自分で描いたと思われる絵をたくさん並べて売っている。近づいてみたら
なんとすてきな絵ばかり! メインのモチーフは猫、どの絵にも必ず描かれている。ブルーの色がたまらなくきれいで、全体に色遣いが
すごく洗練されている。 熱心に絵を選んでいる若い女性の横で一緒に眺めていたら、うん?1枚25ユーロらしい。あら、お安いこと…ホントに?

 結局、彼女は絵を2枚お買い上げ。私は…どうしよう? 強く惹かれながらも、もう一度考えてみようと、ひとまずその場を離れた。




 なおもぶらぶら歩いてスナップ。これはお菓子屋さんのショウウィンドウ、キャンディ?チョコレート? うわあ、きれい、これきっと銀よね。

 

 このあたりでお店は終りかな。


 今度はやって来た方向へと引き返していったが、先ほどのおじいさんの絵がどうも頭を離れない。ねえ、どうしよう? もう一度
見てみようよ。周りのお店を眺めながら、ゆっくり歩いていったけれど実はもう気もそぞろ。さっき真っ先に目についた、浜辺の
赤いパラソルの下に猫が描かれた絵、実は彼も同じく気になったという。まだあるかしら、なかったら、それはご縁がなかったと
いうことなのよね。だから、あったら買っちゃおうか?

 駆け寄りこそしなかったけど、急いでおじいさんのほうへ…ある!あった! 思い切っておじいさんに話しかけてみたら、
やっぱり絵は1枚25ユーロ。 どの絵も猫が描いてあるけど、飼っているんですか?「いや、飼ってはいない、
春先は恋鳴きがうるさくてね。でも、猫のフォルムが好きなんだ。」 どこに住んでいらっしゃるんですか? 「ミラノだよ。ずっとミラノに
住んでいる。」 海の絵が多いですね。「海なら、ニース(フランス)に行ったことがあるよ。 猫は動くもの、命あるものの象徴だ。海や空は
静かな空間を、象徴しているんだよ。」

 こう書いていると、まるでNHKのBS「世界ふれあい街歩き」のようだが、実は3人ともたどたどしい英語で
かろうじて通じた会話である。ブルーの色がとてもきれいだったので、色が「Clear」だと私が言ってみたら、
それが「Korea」に聞こえたらしく、「韓国から来たのか?」と聞かれてしまったひと幕もあったのを付け加えておく。

 そして、望み通り二人とも気に入った、浜辺の赤いパラソルと猫の絵をめでたく購入。おじいさんは足元の
袋から、イタリアでもたぶんスーパーなどで使う透明なポリの手提げ袋(いったん使用済み)を取り出して
絵を入れてくれた。 いいですよ、ちゃんと持てればいいんだもの。ありがとう!
 この絵は、結局イタリアで自分たちのために買った唯一の「おみやげ」となった。

 さて、これで十分満足できたので、骨董市見物は終了。気に入った絵が買えたことが嬉しくて、足取りも軽く歩いて行く。
次にめざすのはスカラ座。かの有名な劇場だが、コンサートではなく内部の見学が目的である。重々しい建物が並ぶ中を
歩いていくが、どれも由緒ありげなものばかり、右の写真の黄色い看板は「クサーニ宮」と書いてあるのだが、これが
どういう建物なのか結局わからないままである。

  

  ジョギング中のカップル。


 スカラ座にはすぐに着いた。まず劇場内部を見学、それから併設の博物館へと入る。重々しい内観はかつてウィーンで見たシュターツオパー
(国立劇場)とそっくりだ。残念ながらすべて撮影禁止なので入り口の9月の公演の案内を撮っただけとなった。



 しかし、世界的に有名な劇場だというのに、トイレがなんともお粗末。イタリアではトイレ環境が非常に貧弱と聞いていたけど
本当に滞在中は常に大きな課題となった。ミラノ市内では結局、常にちょうど中心部にある唯一のデパート、ラ・リナシェンテまで
行ってトイレを借りることに。もちろん大きな美術館などにはあるし、カフェでもOKなのだがいちいちカフェで飲み物を頼んでまで
トイレを借りるのも面倒だ(そんなにお茶ばかり飲めない)。

 そのリナシェンテからして、日本のデパートのように各階に掃除の行き届いた美しいトイレがあるわけではなく、あったのは
レストラン階のみ。レベルとしてはさほど悪くはなかったが、イタリア人はどうしてトイレを大切にしないんだろう。大事な場所だと
思うんだけど。

 ついでにもうひとつ困ったのは、水を流すレバーというかスイッチというか、非常にさまざまなものがあってわかりにくかった
ことだ。引っ張ったり押したりで迷うくらいは序の口、そもそもどこにそれがあるかがわからない。日本ならそういうときは
たいてい説明か印がしてあって、少なくとも利用者のためにわかりやすくしようという意思が感じられるのだが、イタリアでは
皆無だ。

 一番困って頭にきたのが、帰国時の空港のトイレだ。市内はそれでも仕方ないかとも思うが、マルペンサ空港は国際空港である。
いろんな国のいろんな人が利用することが大前提のはずなのに、用を足して気が付いたら、どこを見回してもそれらしきものも説明もない。
まさか流さずに出られない、どうしよう! 足元から頭の上、でっぱりでもなんでもとにかく目に付いたものを片っ端から押したりひねったり、
でも水は出てこない。別の個室からはちゃんと水の流れる音がするのに。

 万策尽きて外の気配をうかがったが、やはり人はいるようだ。逃げられない…このままじゃ飛行機乗り遅れる!こうなったら誰かに
聞くしかないと、ドアをそっと開けて首だけ出した瞬間、背後に水の音! なんと、ドアそのものが「スイッチ」だったのである。
 それならそうとどこかに書いといてよねっ!そんなことになってるなんてわかるわけないでしょっ!

 …と、話を元に戻して、スカラ座でしたね、はい。 博物館のほうはなかなかおもしろく、舞台で実際に使われた小道具や衣装などの
展示や写真などがあったが、さほど大きな規模ではなく、私がちょっと疲れて椅子でひと休みしている間に昼休みとなってしまって
ほとんど追い出されるように後にした。ショップも、音楽グッズがいろいろあったのだが、いかんせん高い。鉛筆1本が2ユーロもするのではね。
デザイン的には悪くなかったんだけど。

 ここには結局1時間ほどいただろうか。そろそろお昼も食べなくちゃ、とミラノの中心部へと向かう。ここはガッレリア、正式名称は「ヴィットリオ・
エマヌエーレU世のガッレリア」だそうで、スカラ広場とドゥオーモ(大聖堂)広場を結ぶアーケードで、いわばミラノの銀座とでもいうべきか。

 一流ブランドのお店が並び、カフェやレストランも多く大変なにぎわいぶりである。

  


 マクドナルドも周囲に配慮したシックな外装だ。ジェラートがおいしそうなのはサヴィーニという高級レストランが経営するカフェ。レストランは無理だけど
カフェなら入れるかな。

 


 どうしようとさんざんうろついたがどこに入るか決まらない。どうしようか…そうだ、デパートの上のレストラン街に行ってみる?デパートもちょっと
のぞいてみたかったし。

 ということで、リナシェンテへと行く。ガレリアからはほんの2,3分の距離にあるミラノ唯一のデパートだ。入ってみると、中は日本のデパートと
まったく同じような雰囲気で、違うのはトイレが各階にないことくらい(まだ言ってます)か。ブランドショップも多々あり。

 




 レストランは最上階になっており、食品も同じ階にあった。いわゆるデパ地下は最終日に行ってみたが、こちらは雑貨売り場になっていて
食品があったのは最上階のみだったようだ。なんと、回転寿司のお店があってびっくり!ちょっと興味があったのだが、カツオのたたきならぬマグロのたたきが
22ユーロもしており、全体に高そうだったのでパス。食べているのはイタリア人ばかりだったかな。

  


 ここでもさんざん迷った挙句に、なんとなくここなら落ち着いて食べられそう、と思った値段もそこそこのお店に入る。テーブルもさほど
広くない、ごく普通のレストランだ。

 さて、これが運ばれてきた料理で、左は私が頼んだカニ入りサラダ、右が彼が頼んだシーフード入りアスパラガスのリゾット。これは二つとも本当においしかった。
一見ピラフみたいだが、お米のようなのはたぶんクスクス(お米のような小さなパスタ)だろう。カニはほぐした身が入っており、ソーセージのように見えるのは
ドライトマト(生のトマトは大の苦手だがドライならOK)、ドレッシングがすごく不思議な味わいなのだがとにかくおいしい。リゾットも塩加減よくグリーンアスパラの風味と
シーフードがよくマッチしていたし、その盛り付けがとても洗練されていたのにも感動、量も多からず少なからず、ビール(大びん)が12ユーロもしたのにはちょっと驚いたが
全体にはとても満足なランチとなった。

 

 が。残念ながらこの後がよくなかった。会計はテーブルで済ませるのだが、やってきたウェイターのお兄さん、彼がおつりがぴったり10ユーロになるように
小銭まじりで置いたら、OK!と金額も確認せずにさっさと持っていく。あれ?何だか嫌な予感…と思ったら、サンキュー!とレシートだけを持ってきて
またさっさと引っ込んでしまったではないか。

 えっ??おつりは?? さっき確認もせずに持っていったけど、間違えたの?それにしてもヘンだけど。そこで、あわてて彼がもう一度お兄さんに合図して
呼び、「10euro、back!」というと、おお!とまたまたあっさり、すぐに10ユーロ持ってきた。 あの、もしかしてわかっててやってません? ホントに間違えてたなら
そんなにすぐ計算違いがわかるとは思えないんだけど。 勝手にチップ?いくらなんでも取り過ぎでしょーが!

 イタリアではおつりの間違いは日常茶飯事、おつりを渡されたら必ず目の前で数えろ、急がされてもあわてることはない、しっかり確認して!と
ガイドブックでもネットでもずいぶん注意されてたので気をつけていたのだが、まさかこんな、一流デパートに入っているレストランで「見え見え」の
ごまかしに遭うとは思わなかった。ちょっとショック。

 まあ、いつまでも気にしていても仕方ない。おなかも満足したし、本日最後の観光に行こう。目指すはミラノに来たら必ず誰もが立ち寄る
王道のポイント、リナシェンテのすぐ隣にあるドゥオーモである。

 ガイドブックによると、ドゥオーモはミラノの代名詞ともいうべき壮大なゴシック様式の大聖堂で、高さ108.5m、奥行き157m。1386年に当時の
領主の夢を実現させるべく建設が始まり、すべての完成は1887年と実に500年もの歳月がかけられたとか。

 500年もかけただけあって、とにかく大きい。そして施された飾りが非常に繊細で美しい。

 


 入り口では服装チェックとセキュリティチェックが行われている。ノースリーブ、短パン、ミニスカートは不可とのこと。ドゥオーモ周辺では
物売りが多く(中には悪質な押し売りもいるということで、物売りの横を通る時はちょっと緊張した)、特にブランケット売りがやたらと目に
ついて不思議に思っていたのだが、これはどうやら軽装の女性が肌を覆うためにどうぞ、ということだったらしい。もちろん長袖、ジャケットの
私には不要である。

 中に入ると、薄暗い中、ものすごく大きな柱が何本もそびえて実に荘厳な雰囲気だ。正面祭壇ではミサが執り行われており、観光客が
遠巻きに見物している。

 もう少し前に行って見てみたい気もしたが、係員が観光客の立ち入りを制限していた。ただ、見ているとすんなり前に行かせて
もらっている人もおり、彼がどういう基準で制止したり通したりしているのがよくわからなかったが、神聖な祈りの場に
その気持ちがない者が近づくのも悪いと思い、中には入らず横の通路を通って前方付近に行ってみた。右がその写真である。

 


 そして、ステンドグラスがとにかく美しい。全部でいくつあっただろう、私にはよくわからなかったけれど、それぞれ聖書の重要な場面を
表現しているのだろう。そして、それにもまして惹きつけられたのが足元の大理石のモザイク模様の床、いろんな色や形の組み合わせが
本当に素晴らしく、技術の高さにも感服だ。また、石の色ごとに微妙にすり減り加減が違っていたり傷がついていたりするところが歴史を
感じさせる。今までいったいどのくらいの人々がこの上を通り過ぎていったのだろう。

  

 
 

 かくして、17日の観光はこれにて終了。ドゥオーモを出て先ほどのガレリアに戻ると、陽気に演奏しながら歩いているグループに
遭遇。大変な人だかりをかき分けて1枚だけ撮ることができた。何かの宣伝ではなく、ストリートパフォーマーなのだろう。なかなか
うまかった。



 
 ホテルに帰ったらもうくたくた。夕食を外で食べる元気も食欲もなく、前日に引き続き手持ちの食品で簡単に済ませる。部屋には
紅茶、コーヒーの用意はあるので、自分で入れてゆっくり飲むのが逆に何よりくつろげてありがたい。

 明日は引き続きミラノ市内観光の予定。今度は何が待っているか…でも、もうスリの洗礼は受けたから逆に気が楽かも。今度は
きっと大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。

 本日の成果、絵を眺めて満足感に浸りながら…おやすみなさい。




 
17日

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