一夜明けて、いよいよ観光スタートだ。 夜中目は覚めたものの、比較的眠れた(ような気がする)。
まずは朝のお楽しみの朝食。ネットではなかなか好評だったので結構期待していた。が。
初日はそれなりに満足できたのだけど、2日目、3日目と日を重ねるにつれ、だんだん…な感じに。

 まずパン、これがおいしくない。クロワッサン好きな私、たくさん種類があったので最初はわ〜いと喜んで
いたのだが、これがチョコ、クリーム、ジャム入りと甘いのばかり。唯一あったプレーンタイプは生地自体が甘い。
バターロール風なのは、塩入れ忘れたんじゃないの?というお味である。

 温かいおかずはスクランブルエッグ、ソーセージ、ベーコン。さらに数種類のハムとチーズ。それから
ヨーロッパのホテルでは必ずあるシリアルとドライフルーツ、あとはカップのヨーグルトが何種類か、それに
缶詰のフルーツ。 これが5日間まったく同じ内容のままである。ツアーだときっと同じホテルに5日も滞在することは
ないだろうから、飽きる前に出発できるんだろうな。
 いや、ぜいたく言ってはバチが当たるだろうとは思うのだけど、野菜がまったくなかったのが一番こたえた。
温野菜はあきらめていたが、フルーツも缶詰のものだし(りんごやオレンジがまるごと置いてあったが、ナイフも
ないのにどうやって食べろと)、せめて生野菜が置いてあったらなあと。 

 唯一おいしかったのはプルーンの水煮とヨーグルト各種、おかげさまでおなかの調子は滞在中とっても
快調でした。はい。

 また、ブレックファーストルームはホテルの地下になっており、かなり暗かったので写真が撮りにくかった。
どうがんばってもホワイトバランスの調整がうまくいかなかったのも残念である。それでもさすがのOM-D、
ISO3200でもノイズが目立ちませんな。



 

  


 これがホテルのエレベーターボタン。日本と違って1階は0階と表示され、地下1階は「-1」と表示される。つまり、我々の部屋は7階だが、
日本でいえば8階ということになる。これは空港などでも同じだった。 ブレックファストルームを出たところに新聞が並べられており、
最終日に記念に2部ほどいただいてきた。

 


 さて、朝食を終えて部屋に戻ると7時半過ぎ。今日はイタリアの湖水地方と言われる地域へ行く。ミラノから列車で
約1時間ほどで行けるコモ湖が本日の目標である。すぐそばのミラノ中央駅からも列車は出ているが、こちらは
国鉄。湖のそばまで行くには私鉄を利用するほうが便利とのことで、まずは地下鉄で私鉄の駅ミラノ・カドルナまで移動、
そこから私鉄ノルド線に乗ることになる。ということで、いよいよホテルを出発!お天気は快晴、まさに湖観光日和である。

 ホテルを出てまず目に入るのは石畳の道路。いつの頃のものかは知らないが、今でも道路を補修するときはこれを
復元するのかしら。 この右手に駅がある。距離はホントにわずかだけれど、いつもなんとなく怪しげな男たちが
駅前広場をうろうろしていて、できるだけ目を合わさないようにさっさと通った。




 この入り口は小さいけれど、中に入るとご覧の通り。

 


 そして、これぞヨーロッパの駅!といった光景が目の前に広がる。この駅は1912〜1931年にかけて建てられたそうで、本当に重厚長大という
表現がぴったりな建物だ。改修工事を終えて近代的な駅に生まれ変わったそうだが、とにかく天井が高い!目の前の階段を2階へ上ると
列車のホームになっている。この日は地下鉄に乗るため、左写真の中央通路をまっすぐ進んだ。

 


 これが地下鉄の改札。ここミラノ中央(ミラノ・チェントラーレ)駅には黄色のM3線と緑のM2線の二本が乗り入れている。いずれも自動改札に
なっており、切符を機械に通して入場する…のは当たり前なのだが、これがクセモノ。

 切符に問題があるのか改札の機械に問題があるのかわからないが、同じ機械に立て続けにたくさんの人がハネられて困っているかと
思えば、一つの機械で通れる人と通れない人が出たりする。 この日ではないが、彼も思いっきり巻き込まれて立ち往生してしまい、係員のいる
改札に回ってやっとこさ脱出できた。 そこまでいかなくても、一度で通れなかったことは珍しくもなく、一方、右の写真はバーを押して
入るタイプの改札だが、それをひょいっと乗り越える若者たちもいたりして。
 そして、係員が機械の点検だか修理だかをしている姿は滞在中一度も見なかった。

 


 さて、改札を無事通り抜けてホームへ。これがミラノ中央駅の地下鉄ホーム。地下鉄は概して暗く、あまりきれいとはいえない。本数はかなりあって
便利なのだけど、スリも頻繁に出没するということで、初日から緊張しっぱなしだ。いやでもプラハでの経験がよみがえる。

 で、一応自分たちの行く路線を確認しようとしたら、何、この穴あき路線図は?! 駅名が読み取れない…そんなにたくさんの人が
指でこすったのかしらねえ。 

 




 到着した電車も、ご覧の通り。落書きは日本でもあるし、今までの旅行でもプラハなどかなりのものだったが、レベルが違う…これなどまだ
いいほうで、このグリーンのラインが見えないほど塗りつぶされている車両もあった。消してもいたちごっこなんだろうな。

 土曜日ということで、車内はすいていた。カドルナは5つ目、座ってしまえばスリも手は出せまい。ちょっとだけほっとして
ノーファインダーでのスナップを試みる。こうしてみると、車内は意外にきれいと言っていいかもしれない。席は一人ずつ
シートが区切られているが、日本と違ってプラスチック製なのでベンチみたいな感じだ。

 




 無事にミラノ・カドルナ駅に到着した。ここで私鉄ノルド線に乗り換えていよいよコモ湖をめざすことになる。私鉄の駅はすぐ目の前、
乗り替えは便利にできている。ゆとりを持ってきたのでまだ時間はたっぷりあるため、しばし周辺をスナップしてみた。こちらの改札はガラスの
扉が開くタイプだ。

 

 まだ15分あるな。


 我々が乗る列車は8時40分発、コモ湖が終点となる。降りる駅を気にせずのんびり乗っていられるのはありがたい。




 これが車内。どうせなら眺めのいい2階席がいいよね、とこちらへ。まだ誰もいない。

 


 向かい合って3人かけられるスペースを2人で占拠、いや、すいていたんですよ。土曜だから?でも行楽の人はあまりこの線を
利用しないのかしら。 車両は最後まですいたままだった。列車は定刻に出発、しばし車窓の風景を楽しむ。 と、さっそく目につくのは
こんな落書きである。

 地下鉄の車両にすら描いてあるのだから、こういう塀など格好のキャンバスだろう。日本でもよくねらわれる場所ではあるが、
それにしてもすごい。そそくさ描いて逃げました、ではなくじっくり取り組まないとここまでは描けないはず、こんなふうに
なかなかアーティスティックな落書きは、本当にいたるところで見られた。いくらアーティスティックでも、美観を損ねていることは
確かなのだけど、ここまできたらあっぱれと言いたくなる気がしないでもない。

 


 途中の駅からでもほとんど人は乗ってこない。二階席なので、目線が高くてなんとなく気持ちいい。

 


 街はすぐ遠ざかって、すぐに田園風景が広がる。右の写真は収穫後のトウモロコシ畑、これは飼料用だろうか?とにかく広い。

 


 しばらく行くと、おもしろい木が目に付いた。松?モミの仲間?そういえば不思議と松の木をよく見かけた。なんとなく松というと日本のイメージが
強いのだが、よく考えたら別にそんなこともないはずだ。「ローマの松」って曲もあるんだし。この後も何度も出会ったが、日本の松とはかなり違う
種類が多いような気がした。

  

 これは日本の松に近いけど、剪定のしかたがやっぱり違う。


 そして乗ってから1時間ほどでコモ湖岸のノルド・ラゴ駅に無事到着、今度は船かバスに乗ってトレメッゾというところまで移動する。
往復ともに船、という手もあるのだが、船のほうが速いがやはり料金が高くなるし、行きと帰りで変化が出たほうがいいね、と意見が一致して
バス乗り場へ。この決定が我々にとんでもないスリルを味わわせてくれることになったのだが、このときは知る由もない。

 バスの番号はC10番、あ、ちょうど止まってるよ!急げや急げとチケット売り場へ。結構混んでたけどどうやら間に合った。バスに
乗りこんでから彼がちょっと首をかしげて、なんだか安すぎる、という。2人で4ユーロちょっと払ったことになってる…50分くらい乗るん
ですけど。ちゃんと行き先告げて、切符も2枚もらったのだが…イタリアでは釣銭の間違いはしょっちゅう起こることと聞いてたが、
多く間違えることもあるのね。

 もう走り出しちゃったし、仕方ないねーとのんびり外を眺める。湖岸に近付いたり街中に戻ったり、これもまた楽しい。

 


 


 途中の停留所で何度か止まり、人が乗り降りし…しばらくしてはっと気づいた。停留所で人が降りるときは日本のバスと同じく
ブザーを押して降りることを知らせるのだが、肝心の停留所名のアナウンスもなければ車内にその表示もない。ええ〜っ!!!

 のんびり気分は一度に吹き飛んで、それならと止まった停留所の標識に目をこらすが、名前などどこにも書いていない。
いったいどうやって降りろと!! 何度もこの路線を乗りなれた地元民しか相手にしてないわけ、このバスは!!
 乗ってからまだ20分くらいしか経ってないので、今はまだあわてなくても大丈夫だが…切符をよく見ると、地名がずらっと並んでいるので、
とりあえず2人で道路わきの(バスとは無関係な)地名の表示をチェック、バスの切符と照らし合わせる。「今、Laglioって書いてあった!」
「じゃ今度はBriennnoか?」…「今Briennno過ぎたよ!」「うん、道は合ってる」 いやはや。

 こうなっては頼るのは運転手さんのみ。「乗るときにトレメッゾに行くか聞いたから、大丈夫だろ」 いや、それだけでは不安だ。
だって忘れてるかもよ。お願い、念押ししてきて!とにかくもう一度確認しに行ってもらう。 「大丈夫、トレメッゾ止まるってさ」
いやそれだけじゃなくて、ちゃんと降りるときに教えてもらわないと。再度行ってもらう。

 ホントにちゃんと教えてくれるだろうか?忘れてないかしらん?だってここイタリアだから(おい)。もう外の景色を楽しむどころでは
なく、祈るような気持ちで前を見つめる。そして湖岸に来たな、と思った時、車内のブザーが鳴り「トレメッゾ!」という声が聞こえた。
あ、他にも降りる人いたんだ。よかった〜降りられた…。

 本当に心の底からほっとして、停留所の標識を眺めた。こんなところに小さく「Tremezzo」って書いてあるよ…車内から見える
わけがない!! いらぬホテルの広告より、上に大きく書くべきでしょ!左写真の中央の赤い標識がバス停のそれだが
どの標識もこのホテルの広告がどかんと上に掲げられてあった。ああ異文化。

(後でじっくりガイドブックを調べたが、どこにもバスの乗り方降り方は書かれていなかった。また帰国後検索して見つけたイタリア旅行の
ツワモノブログによれば、イタリアのバスはやはり自分が降りる停留所をあらかじめ運転手に告げておかないとダメ、というものだった。
他にもバス停の場所がわかりにくい、切符がどこで売られているかわかりにくい&車内では買えない(買えても高い)、時間通りに
来ない、など、大変な乗り物だと知った。行く前にこのブログを読んでおくべきだった…てか、ガイドブックならちゃんと載せておいて
ください!)

 


 バス停のすぐそばが船着き場になっており、帰りはここから船に乗ることになる。船の時間と料金を調べ、無料のトイレがここに
ちゃんとあったのでそれにも安心して、やっと行動開始だ(イタリアではトイレも重要な課題の一つである)。




 湖を渡ってくる風は本当にさわやかで、日差しはかなり強いが、日陰に入るととても気持ちいい。ひとつ難題をクリアした安堵感も
あって、今度こそ景色を楽しみながらぶらぶら湖岸を歩いていく。トレメッゾはコモから約30km、温暖な保養地でお金持ちの別荘地と
しても知られているという。
 コモ湖は「人」の形をした細長い形をしており、湖に向かって立つと対岸はわりと近くに見えるが、左右にはどこまでも広がっている
ように見える。水はとてもきれいで、遊覧船やヨット、ボートも多く行き交っている。

 湖を右手に見ながら歩いていくと、左手にホテルやレストラン、カフェが見えてきた。まだお昼にはちょっと早いので、とりあえず水を買って
第一の目的、カルロッタ邸をめざした。カルロッタ邸はコモ湖周辺の観光ポイントの一つで、ミラ ノの銀行家によって1690年頃に建設され、現在は
イタリア政府の所有となっており、美しい庭が観光客の人気だとか。

  


 左手はなだらかな斜面に家々が建っており、6年前に訪れたオーストリアのハルシュタットとよく似た風景になっている。道路に面しているのはほとんどが
店舗だが、ちょっと坂を上っていくと普通の家が並んでいるようだ。狭い坂道、なかなか絵になるけど、住んでいる人はちょっと大変かも。

  毎日この階段を上り下りしているのね。


 これがカルロッタ邸だ。物語の世界そのままの光景、素晴らしい庭が広がる広大なお屋敷で、今もよく手入れが行き届いている。赤い花が
よく目に付いた。他の季節だとまた違う花が咲いているのだろうか。

  


 レモンがなってる、さすがイタリア!そのそばにはオレンジ、かと思ったら日本のみかん?ウンシューと書いてあるのにびっくり。いわゆる「みかん」よりは
オレンジに近い感じだったので、種類が少し違うのかもしれない。

 


 邸内は撮影禁止だったが、美しい壁紙、絵、調度、かつてここに集った上流階級の人々の様子が目に浮かんでくるような優雅な雰囲気が漂っていた。ことに
バルコニーからの眺めは最高! なんとなく「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐邸を連想してしまったのは私だけ?中から外を撮るなら大丈夫だろうと
シャッターを押してみたら、係員さん、私がカメラを構えた瞬間はふっと腰を浮かせたけれど、外にレンズを向けたら何も言わなかったので結果オーライ。 
バルコニーに出ての記念撮影もOKだった。

  


 今度は広大な庭園を回ってみる。建物の裏手に出て、そのまま歩いて行くと、庭というよりまるで植物園に来たような雰囲気だ。湖に向かってなだらかに下る斜面を
利用して、本当にいろんな植物が植えられている。樹齢いったい何百年なのか、とんでもない巨木もあれば、いろんな色のベゴニアが集められていたり、さらに
驚かされたのは竹林と鳥居!!エキゾチック・ジャパンというわけだろうか。鳥居の奥がどうなっているかちょっと興味もあったが、上っていくのが大変そうなので
パスしておいた。鳥居の真ん中、よく見ると「カルロッタ」のCが刻まれているのを、写真整理中に発見。

  

  

 上の写真の真ん中はカタクリ!イタリア語ではなんていうんだろう。一番右は自動水撒き機作動中。


 古い農具を展示した小屋のそばにはまたまたウンシューミカンらしきものが。右の写真のフェンスの向こうはカルロッタ邸ではないが
ずらっと並んだ盆栽にまたまたびっくり、思わずカシャリ。「BONSAI」の人気ぶりは、別の日にも知ることになる。

 

 
 この庭からも湖がよく見える。本当にすばらしい景観だ。

 

 


 1時間半ほどかけてじっくり見たらさすがに疲れてきた。そろそろお昼ご飯だね、と、名残を惜しみつつカルロッタ邸を後にする。
最後にもう1枚!と池のスイレンをカシャリ。せっかくきれいなのに、どうも思うように撮れないなあ…ちょっとねばってみた
けど、やっぱりうまくいかなかった。

  日差しに耐えかねて日傘使用中。


 先ほどはすぐ横の入り口から入ったので、よく見なかった館の正面に回ってみた。なんと格調高い美しい門、ここでも中央に「カルロッタ」のCの字が
あしらわれている。この門はどんな時に開くのだろうか。

 


 今度は山側、先ほどの道の反対側を歩いて、やってきた方向へと戻る。坂道の趣が何ともすてき、後でじっくり撮るからね!今はとにかくランチ、ランチ。
あ、これまたいい雰囲気の食料品店! 

  


 どこに入ろうかと迷いながら歩いていって、結局行きに水を買ったお店のお兄さんが愛想よかったのが決め手となり、そこに入る。 いつものことだが
外国でお店に入ると、とにかく料理の分量が大問題だ。ピザを1つ、サラダを1つでシェアなら問題ないよね、と頼んだのだが、お兄さん、こちらが言う前に
ピザは二人でシェアか、と聞いてきた。日本人が小食というのは、すでによく知られているらしい。そうだと答えると、愛想良くOK、OKと言ってくれて
なんだかほっとした。が。 
 
 まず頼んだ覚えのない小さなパンとグリッシーニがどどんと。隣のテーブルにも同じものが乗っている。きっと日本の水みたいに、これは
必ず出てくることになってるのね。 お腹はすいていたしグラスワインを頼んでいたので、さっそくぱくぱくいきたいところだが、これ食べたら絶対に
ピザが入らなくなる、と我慢。グリッシーニだけちょっとかじってみる。

 


 そして、にこにこと愛想よくお兄さんが持ってきてくれたピザを見た瞬間…でかっ!! ちゃんとあらかじめ半分ずつお皿に分けておいてくれた気配りに
感謝しつつ、その大きさに一瞬ひるんだが、驚くのはまだ早かった。さらに運ばれたサラダ、これはもはや器ではなく「ボウル」でしょう。作ってそのまま
キッチンから運んできた、という感じ。 たっぷりの野菜はありがたいのだが、これ、日本人なら6〜8人分くらいあるよ…ドレッシングはなく、最初に
持ってきたバルサミコ酢とオリーブオイルで食べる、というのがイタリア流だ。

 


 味はまずまずだったけど、いかんせん量が…サラダもがんばったけど、やっぱり無理だった。ちょこっと残してしまって
ごめんなさい! 最後まで愛想よかったお兄さんには、この後思わぬ形でもう一度会うことになる。

 行きに調べておいた船の時間まではまだたっぷりあったので、腹ごなしにぶらぶらお散歩、今度こそ坂道スナップに精を出す。このあたりの観光ポイントと
いえば、もちろんカルロッタ邸だろうが、私にはそれに負けず劣らず、いやそれ以上にこの坂道の風情がよかった。実際に人が住みながら、そのまま
大切にされてきた建物、壁、扉、道…落書きもほとんど見当たらず、本当にいい雰囲気を保っている。いくら撮っても飽きなかった。

  

  振り返れば湖。


 ときどき足元でちょろちょろという音がするので、のぞきこむと泡立った下水?が湖に向かって流れて行く。これ、まさかそのまま流している?
いや、ちゃんと浄化槽を通しているよね…と思いたいのだが。あれだけ美しい湖、ぜひこのまま守ってほしい。

  これは郵便受け?古い壁にしっくりとなじんでいる。


 しばらくしてから、また湖沿いの道をぶらぶらと歩いてみた。この道はいったい何度往復したかしら…そのとき。ふいに
「Sorry!」と声をかけられ、びっくりして振り返ってみたら先ほどのカフェのお兄さんではないか。何か言いながら
黒いものを差し出されたのを見たら、なんと私の45mmレンズ! 今回持ってきたものの、なかなか出番がないまま持ち歩いて
いたのだが、先ほど食事をしたときにうっかりバッグを椅子の下に落として中身をぶちまけてしまった、そのときに
転がり出たのを気付かなかったらしい。

 ありがとう、本当にありがとう!!またあの日本人が通らないかと、気にかけてくれていたのだろう、本当に大感激だった。
これを失くしていたらどれだけショックだったことか…それをわざわざ追いかけて渡してくれるなんて。声をかけられたとき、ここでも
アヤシイ人がいるのか?!と一瞬緊張してしまったりして、本当にごめんなさい。

 心の中でなおも手を合わせつつ、船着き場のほうへと向かう。そろそろ時間だ。今のタイミングで声をかけてもらえなかったら
レンズとは永遠のお別れだった。

  


 ここが船着き場(上左の写真の中央にも写っている)。高速船(水中翼船)と普通の船とがあり、高速船ならコモまで35分ほどで着く。

  のんびりカモメ。


 ほどなくして船がやってきた。ちょっと遅れてたかしら。あいにく眺めのいい2階分はすでに満席だったので、下の船室へと
降りていった。窓際に座ると、本当に水面が目の前だ。それが、出発して加速しはじめると…わっ、目の前にものすごい波!
窓がぜんぶ水に覆われて潜水艦状態だと思ったら、船体がみるみるうちに上昇して走り始めた。なるほど〜これが水中翼船!たちまち
目線が高くなる。

 

 


 今度はもちろん何も心配することなく、無事コモに到着。35分なんてあっというまだ。時間は午後4時半とちょっと早めだけど、そろそろ引き上げようと
行きに降りたノルド・コモ駅に向かう。結局コモの街はまったく見物しなかった。

 

 部分的に黄色い葉をぶらさげたこの木、日本では見たことがない。全部黄色になったらさぞきれいだろう。

 


 ちょっとだけ迷ったけど、無事ノルド・コモ駅に到着。次のミラノ・カドルナ行きは17時17分、まだ十分時間がある。まずは切符を
購入、刻印してからホームへ。と思ったら、あら、もう列車が来たよ? しかももう乗っていいの? それならベンチで待つより楽だね、と、さっそく
乗りこんだ。

 


 だけど、じっと待つのもつまらないな。ちょっと外を撮ってくるね、と私は外へ。いくらイタリアでも時間前の発車はない(と思う)。列車は先頭も最後尾も
同じ顔だ。それにしてもホームの低いこと、「渡ってはいけない」という表示があるが、出発直前でホーム変更が珍しくないというから、渡ってしまう人も
いるんだろうな。

 


 列車は定刻に出発、無事ミラノ・カドルナに戻ってきた。帰りはほとんど写真を撮らなかったけれど、唯一撮ったのがこれ、アーティスティックな
落書き。これだけ描くエネルギーはなかなかのものだと思うのだが、もっと他に振り向けられないのかしらね。




 どこにも寄らずにまっすぐホテルへ。昼間の特大ピザとサラダランチのおかげで、まったくお腹がすかないので、ホテルで持参のフリーズドライのおかゆや
お菓子で夕食を終えた。
 そして、1日2度のイタリアンは胃袋が受け付けてくれないということがよくわかったので、結局滞在中夕食は常にホテルで取ることとなった。食事付き
ツアーなんて、絶対に無理だな。つくづく個人旅行でよかったと思う。そして、3日目くらいにはだいぶ慣れたので、ホテル近くのスーパーでイタリアンな
お惣菜を買ってきて食べたりもしたが、これが楽しかった。 次回はもっとそのための準備もしてこようと思う。

 これが本日のチケット。真ん中の細長いグレーのチケットがバスである。ホントにスリリングだった…。




 明日とあさってははミラノ市内観光だ。まずは第三日曜に開かれているという骨董市を目指して、後は…行ってのお楽しみ。
そして、今日のバスに負けず劣らずのびっくり体験が待ち構えていたのだが、それはまた次のお話。

 おやすみなさい…


16日

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