25日、いよいよウィーンとはお別れだ。今日はなんと7時過ぎにお迎えが来るということで、朝のあわただしかったこと、
もちろん昨夜のうちに荷造りの大半をすませておいたけれど、洗面道具やらスリッパやら最後に押し込まなければいけない
荷物も結構ある。 食事は6時半だから荷物を全部持って下りなければいけないし。

 写真左は部屋を出たところ。ホテルの名前はベルビュー、かなり大きいクラシックな外観の建物だ。中も結構古めの感じで
はあったが設備、内装はまったく申し分なかった。ただ、驚いたのはエレベーターのドアが手動だったこと。しかも何かと
先般話題になったかのS社製である。

 言葉で説明するのは難しいのだが、これはボタンを押してしばらく待つと箱が到着したのがドアのすりガラス越しにわかるので、
それから手でドアを手前に開け、乗り込むという仕組みになっている。S社はこちらではいわば老舗ブランドメーカーで信用も厚い
のだろうけれど、こちらとしては緊張せざるを得ない。「来た!それ!早く!」と、そのたびに頼むから乗り終わるまでじっと
しててねと念じつつ、大あわてて乗り込んだ。大きな荷物を持っているときはなおさらだった。

 


 そしてこれが朝食。朝6時半のレストランはまだまだ薄暗く、きれいな写真を撮るのが難しい。メニューはプラハの
ホテルよりはよかったように思うが、やはり2年前のメルキュール・ウェストバーンホフにはかなわなかった。あ、でも
手前のお皿にあるチーズディップはおいしかったな。

 


 朝食もこの日はあまりのんびり食べていられず早々にロビーへ。お迎えの人は時間通りだった。名残を惜しむ
暇もなく車へ乗り込む。空港までは14,5分かかっただろうか、今日もいいお天気だ。前回はガイド女史の
最後のレクチャー、すなわちお土産類を持ち帰る際の税金関連のもろもろの手続きを聞きながらだったので
時間はあっというまにたったような気がするが、今回はプラハ到着時同様、運転手さんだけのお迎えで何も説明は
なし。 もっとも、税金関連の手続きが必要になるような品物は今回も買っていないので、まったくノープロブレム
なのだけど。

 そして前回は何組かのお客の搭乗手続きをガイド女史がまとめてやってくれたが、これもすべて今回は自分たちで
しなければいけない。「それぞれのお客様同士がばらばらにならないよう座席を確保するのが私の最後のお仕事なんですよ、
皆様それぞれちゃんとご一緒の席がとれてよかった!」と彼女が最後にいかにも大変そうに言っていたのを
思い出したけれど、特に問題なく2つ連なった席を確保できた。混雑してなかったということかな。

 時間はまだたっぷりあったので、最後の買い物をのんびり楽しんだ。2年前に歩き回ったときとお店はほぼ同じだったと
思うが、これなら安い!と感動した(でも買わなかったけど)ゴディバのお店がなくなっていたり…きっと他にも
いろいろ入れ替わりはあったのだろう。今回の収穫はあのヴァッハウ産(あんずの名産地とは前回知らなかった)の
アプリコットジャムかな。もちろん市内で買ったほうが安かったのだろうけど、これは本当においしかった。
 
 また、やった!と思ったのはかのザッハー・ブランドの紅茶。23日にウィーンに着いたとき、早々に本店で買って
おいたのだが、前回もあった空港と本店での価格差、今回はさらに開いて約8ユーロも…私の記憶違いでなければ
本店では1ユーロ弱、空港のそれは4ユーロ値上がりしていた。写真は左がアプリコットジャム、右がその
ザッハーの紅茶である。

 


 やがて出発時間となり、搭乗口へ。チューリヒに向けて飛び立った。行きと同様、チューリヒで飛行機を乗り継ぐことに
なっているのである。さよなら、ウィーン。きっとまた来るからね。眼下に見える山並みはどのあたりになるのだろう。
今度はもう少しヨーロッパの地理を頭に入れておかないと、と思った。

 

 
 ウィーンを飛び立ったときは青空だったのだが、チューリヒで出発を待っている間にだんだん雲行きが怪しくなり、雨が
降り出した。日曜まではお天気大丈夫ですよ、と言っていたHさんの言葉を思い出す。あれはオーストリアの話では
あるけど、スイスも関係あるかな。どっちにせよお天気がずっともってくれたのは本当にありがたかった。やっぱり私は晴れ女。

 

 
 さて、飛行機に乗り込んだところ、我々の席は行きに指をくわえて見ていた「ゆとり」のある最前列と判明。これはうれしかった。
見よ、このゆったりスペース!これぞエコノミー版ファーストクラス。写真左は窓側に座った私用の雑誌もろもろ、足も私(^^;)
 右の写真の右上にあるのは折りたたまれた状態の乗務員用シートだが、フライトアテンダントが目の前に座ると知った彼は
そわそわ。が、出発前その席にやってきたのは男性のアテンダント…笑いました。
(と思ったら、直前になって女性に交代。ベテランとお見受けするちょっとご年配の方ではあったが、男性よりはマシだったらしい)

 


 ところで、食事は帰りのほうがおいしかったかな?ただ、「酢豚風」というメニューを選んだのに、どこが?!という感じでは
あったが。彼が選んだのはグラタン、たとえ和食が恋しくてもその「土地」の食べ物を選んだほうがおいしいはずだ、という
彼の意見は正解だった。右の写真がその「酢豚風」である。また、ワインのボトルのラベルがきれいで持って帰りたいような
気がしたが、さすがにできなかった。行きの飛行機ではちゃっかりボトルをしまいこんでいる日本人カップルを見かけたの
だけど。

 

 
 目的地が成田ということで、さすがに日本人が多かったが、おかしかったのはとある団体旅行の一員らしい年配の女性。トイレの
順番待ちの最中、「どちらへ行かれたんですか?」と我々に話しかけてきたのだけれど、自分たちはこれこれのところを回ってきたと
説明して「私たちね、ヨセミテも行ってきたんですよ。」とすましておられる。
 は?ヨセミテ?確か妹たちがアメリカに住んでいた頃に行ってきたはずだけど…あれってアメリカじゃなかったっけ?すると彼が
横から「ドロミテですよね。」 そうそう、それならわかる、ドロミテは北イタリアだから。間違えられたのね。ところがおばさま、
「いいえ、ヨセミテですよ。」ときっぱり。
 はぁ。あまりに自信に満ち溢れたご様子に、これ以上訂正するのもナンなのでそのままお話ししていただいたが、「あの人、あっち
こっちで『ヨセミテ行ってきたのよ』って話してるのかねえ…」と彼が後で苦笑していた。

 そして帰りの飛行機、座席の快適さ(前が広い)もさることながら外がよく見える位置に座れたこともラッキーだった。
青空の中にスイス・エアラインの赤いマークの翼が映える様子を眺めているのも飽きなかったけれど、何といっても「夜明け」の
すばらしかったこと!窓についた霜が差し込んできた光にきらめいて太陽が翼ごしに顔をのぞかせる、その一瞬は本当に感動的
だった。あと1時間ほどで成田、という頃だったと思うが、E-500だったらどんな絵になったのかなあ。機内では大きなカメラは
邪魔になると思い、しまいっぱなしだったのだけど。でもエクシであろうとこれが撮れただけで満足だ。

  


 さて、この後無事成田に到着、我々の二度目のヨーロッパ旅行は終わった。アクシデントは多かったけれど、何よりお天気に恵まれて
本当にいい旅になったと思う。長々とお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。前回同様、書ききれなかった部分を
「番外編」としてアップするつもりですので、よかったらまたのぞいてみてください。



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